キュービクル工事とは?導入から設置までの流れをわかりやすく解説
2025/06/14
高圧受電設備として重要な役割を果たす「キュービクル」。
大規模な建物や施設では、電力コストの削減や安定した電力供給のために、キュービクルの設置が欠かせません。
しかし、「キュービクル工事ってどんなことをするの?」「設置までにどんな手順があるの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、キュービクルの設計・申請・設置から受電・保守までの一連の流れを、各ステップごとにわかりやすくご紹介します。
- 工場やオフィスビルなどで初めて導入を検討している方
- 設備更新を検討中の施設管理者の方
- 電気設備の基礎を理解したい新任担当者の方
にとって、**「今なにをすべきか」「どこに気をつけるべきか」**が明確になる内容です。
キュービクル工事に必要な知識をしっかりと把握し、スムーズな導入と安全な運用を目指しましょう。
1. ヒアリング・現地調査
🔍 工事の第一歩は現場の確認と要件整理
- 使用する電力量の確認(契約電力・負荷設備など)
- 設置場所の選定(屋外・屋内・屋上など)
- 受電方式・スペース・動線・防災規定の確認
- 法令・自治体規制・安全基準の把握
目的: キュービクルの仕様や設置場所を決定するための基本情報収集
2. 設計・見積もり
📝 設備仕様を決め、工事内容を具体化
- 必要なキュービクル容量や構成機器を設計
- 変圧器・ブレーカー・計器・コンデンサ等の選定
- 配線・配管経路、基礎構造などの設計
- 電力会社や関係官庁との調整事項の確認
- 工事費用とスケジュールの見積もり提出
目的: お客様に最適な受電設備プランを提案し、合意を得る
3. 電力会社への申請・協議
⚡ 法的な手続きと電力契約の準備
- 高圧受電契約の申請(新設・変更)
- 受電方式(スポットネットワーク、単独受電など)の選定
- 電力会社との協議・技術打合せ
- 設計図面の提出と承認取得
目的: 電力会社から正式に高圧電力を受けられるようにするための申請
4. 機器の製作・調達
🛠️ キュービクルを構成する機器を準備
- キュービクル本体の製作(受注生産が一般的)
- 必要な電気機器(変圧器、開閉器など)の発注
- 工場での事前組立・検査(出荷前試験)
目的: 工事当日に必要な機器を準備し、現場作業の効率化を図る
5. 土木・基礎工事(屋外設置の場合)
🏗️ キュービクル設置のための基礎づくり
- コンクリート基礎の施工
- アンカーボルトの埋設・水平確認
- 配線・配管用スリーブの設置
目的: 機器を安全・確実に設置できる土台をつくる
6. 搬入・設置
🚚 キュービクルの現場搬入と据付作業
- 重機を使ったキュービクルの吊り上げ・搬入
- アンカー固定、水平調整
- 接地工事(接地抵抗値の測定)
目的: 安定した設置と、機器の正確な配置を確保する
7. 電気配線工事・結線
🔌 電力を供給するための重要な工程
- 高圧ケーブルの敷設と端末処理
- 接地線、低圧配線、計器配線の接続
- キュービクル内部の機器間結線
- 絶縁抵抗測定、接地抵抗測定
目的: 安全かつ正確な電気接続を行う
8. 試験・検査
✅ 問題なく稼働するか最終チェック
- 耐圧試験、絶縁試験、動作確認試験
- 制御系統・保護リレーのテスト
- 電力会社立ち会いによる受電前検査
目的: 法的基準を満たし、安全に受電できることを証明する
9. 受電・引き渡し
⚡ ついに電力供給スタート!
- 電力会社からの送電開始
- 各種メーター稼働の確認
- お客様への設備説明・運用マニュアル引き渡し
- 保守契約や定期点検の案内
目的: 設備を正式に稼働させ、業務に支障なく使えるようにする
10. アフターサポート・保守
🔧 安全と長寿命のための継続的な対応
- 定期点検(年次点検・月次点検など)
- 経年劣化への対応(部品交換や更新)
- トラブル時の緊急対応(24時間体制)
目的: 長期的な安心と安全を確保し、トラブルを未然に防ぐ
まとめ
キュービクルの工事には、設計から設置、検査、保守まで一貫した対応が必要です。電気工事士や電験三種などの有資格者による施工・点検が法的にも求められており、信頼できる専門業者との連携が不可欠です。